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日記帳。
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証跡
「…地獄の炎が平気なら、普通の炎に耐性があったって、いいのに。」
肌を舐める炎は容赦がない。じりじりと肉を焦がされる感覚は慣れない。
ふっと息を詰めて己のまとうオーラを解放すればぶわりと風が吹くように炎は消え去る。だからと言って痛みが消え去るわけもなく破れた横腹からどくどくと零れ落ちる赤はとめどない。鼓動に合わせて流れを作る。…思う以上に深かったらしい。
喉で唸って力を込めた。ぐわりと両腕を起点に噴き上がる炎は全身を覆う。ちりりと燐光を纏えばぱっくりと口を開けた皮膚はその間を炎が塞ぐ。全快とは程遠いがほんの少し痛みは引いた。
かすむ視界は不明瞭この上なく、揺れて焦点が定まらない。血を失い過ぎたか、頭を強打したか。なんとなく後者の気もしたが残念なことに両腕は倒れ込みそうになるのを必死に耐えて身体を支えていて頭の確認ができない。生まれたての小鹿でももう少しマシに見えるだろう。小刻みに痙攣する下半身は力が入らずだからと言ってバランスを崩すまいと両腕は必至だ。…必死だった。だが無理だった。どしゃりと落ちる。顎を打った。痛い。…と思ったが身体のどこもかしこも鈍い痛みを訴えてそれどころじゃなかった。なんとなく笑った。笑えるうちはまだ大丈夫だなぁとぼんやりと思う。
強くなりたいなぁとそっと呟いた。目を綴じたら意識ごと刈り取られてしまいそうなので楽しいことを考えることにした。今日はなにをつくろう。せめてと腕を立てようとあげようとしたが結局中心となる色すら決める前に目の前は真っ暗になった。どちゃりと腕が落ちる。ぬるい液体の中。
まだ出血していた箇所があったらしい。 あぁ本当に ついていない。
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