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日記帳。
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濫觴
どっ。と倒れ込んだパイプベッドは薄い。ぎしりと軋んだ音を悲鳴のように漏らした。
シーツを握り締める。吐息は、熱かった。激情を堪えたままの胸は炉心を抱え込んだように煩く、しかし心はおそろしく軽い。
感情の昂ぶりに綴じた瞳が潤んでいるような気がした。歓喜。喜悦。至極。どれもそれであるようで、どこか違う。
ここにいたのだ。郷愁にも似た哀切をひとつ滲ませて。
ここが最初だった。覚えている。憶えている。何一つ忘れていない。失くしていない。
身体が、ここにすべてがあったのだと教えてくれる。
地を鳴らす轟音も天に轟く爆音も。肌を焦がす戦火も何もかも。
地獄をまとわぬ己の最後の欠片は幸福を得たりと笑み崩れ、空白が至福で満ちればそれは確かに己の望む戦場という形をとる。
間違いだなどとは思わない。これがなければきっと生きられない。わかっている。
わかっているけれど、と手招く睡魔に身を明け渡しながら宴は眠りの淵に落ちていく。


こわかった。と吐息のような言葉は夜にとけた。
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