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日記帳。
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死にたくないと言ったのだ。死にたくないと。
ならば力を手離せばよかった。それも、嫌だと言った。
よくわからないと宴は思う。
まがいものだ。まがいものの力だ。誰とも知れぬ存在から特別な力を賜ったところで過ぎたものは禍しか呼ばない。此度で地獄の狗を呼んだように。
普通の人間であろうが研鑽を積むことはできたはずだった。恐らくそれも選ばなかっただろうが。
何もかもを選ばず、結果死のみが残された。
この牙が齎した結果を悲嘆や喜悦に変えることはない。
あるがままがそうなっただけだ。
死にたくないのなら力を手離すべきだった。
力を手離したくないのなら全力で抗うべきだった。
例えそこに勝機の欠片さえなくとも。
力に殉じて暴力を望んで。そういう世界に生きるというのなら、
宴は歓迎しただろう。それこそ、後腐れなく、後味の悪さを味わうこともなく。遠慮なく拳を振り上げ頭蓋をぶち抜き心臓を抉り好き敵として叩き潰すことを選んだだろう。
矜持も覚悟もないものは嫌いだ。宴はそう思う。
力の強弱は関係ない。己の選択を後悔しないこと言い訳をしないことただ、それだけでいい。シンプルなものだ。此度の相手はそれがかなわなかっただけのこと。
「…人間、だったんだね。あの人。」
ただ普通の人間だった。ただ、其れだけ。
殺したことを覚えておくことはしないだろうと思う。
どこかの未来で報いの牙をこの身に受けることになっても言い訳だけはしないでおこうと思うのみだ。
誰にとも向けられることなく白い花を川に流して宴はそっと瞳を綴じた。
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